ふたたび るびぃ
voice:ふたたび るびぃ

DV彼氏から逃げてきた先輩を守る後輩

(街を歩いている)

病院、疲れませんでしたか?
結構待ち時間長かったし…。
本当に大丈夫ですか?

まさか肋骨にヒビ入ってるなんて思わなかったです。
知らなかったとはいえ、昨日寝る時ギューってしちゃってすみません。
痛んだりしてませんか?

俺には無理しなくていいですから。
ちゃんと言ってくださいね?
約束ですよ?

(話を切り替える感じで)
じゃぁ、最後の大仕事しましょうか。
……彼氏さんとの別れ話です。
家で話をするにはさすがに先輩の身が危ないので、駅前にあるファミレスでしましょう。
人目ひとめがあれば、さすがに暴力を振るってきたりしないでしょうしね。

(ファミレスに入る)

先輩、奥どうぞ。
俺は隣に座りますね。
よいしょ…っと。

先輩、緊張してます?
大丈夫ですよ。
先輩には指一本も触れさせません。
触れてこようとしたら、俺が阻止そしします。
だから、安心してください。

俺が身をていしても先輩を守り抜きますから。
絶対にこれ以上怪我をさせたりしないから。
だから、俺を信じてください。

ありがとうございます。
ぁっ、これを先輩に渡しておきますね。
俺の家の合鍵です。
逃げなきゃいけない状況になったら、これ使って俺の家に逃げてください。
いいですね?

(気を取り直す感じで)
じゃぁ、彼氏さんを呼び出してください。

(寄り添う感じで)
大丈夫。
俺がついてますから。

(間を開ける)

(DV彼氏登場)

あなたが先輩の彼氏さん?
職場では先輩にいつもお世話になってます。

いきなりなんですが、先輩と別れてもらっていいですか?
『どうして?』って、そんなのご自身が一番理解してるんじゃないですか?

(徐々に苛立って)
先輩に暴力振るって、こんなあざ作らせて…。
先輩はお前のサンドバッグじゃねぇんだよ。

それなのに、先輩はいつも『階段から落ちたの』としか言わない。
体も心もズタボロで、めちゃくちゃ痛いはずなのに、周りを安心させようと下手くそな作り笑いをする。
それがどういうことかわかってんのか?

だけど、それも今日までだ。
先輩は『もうついていけない。別れたい』って言った。

だから、お前も『別れます』って言えよ。
ほら。言えって。

おい!勝手に先輩に触ろうとすんなよ。
何で先輩をお前の家に帰さなきゃいけねぇんだよ。
さっきの話聞いてた?
先輩は『別れたい』って言ってるんだよ。
お前の家に帰る理由ねぇんだから、つれていく理由もねぇだろ。

触るなって言ってんだよ!

先輩、逃げて!
早く!

(先輩、ファミレスから逃げる)

ここから先には行かせない。
先輩には絶対に近寄らせない。
お前みたいな虫けら、先輩の隣にいる資格ねぇんだよ。

【書類をテーブルに出す音】

これは先輩が暴力を受けた痣の写真。
目元、口元、腕、足、その他諸々…。
ちなみに、これ以外に昨日のお前の暴力で肋骨にヒビ入ってるから。
これが診断書な。

これらを持って警察に被害届出せば、お前は社会的に厳しい立場になるよな。
仮に、出されたとしても自業自得なんだけど。

だって、先輩はずっと苦しい思いをしてきたんだから。
肉体的にも、精神的にも追い詰められて、やっとの思いで俺のところに来て、助けを求めて…。
先輩が受けた苦しみに比べたら、お前が受ける苦しみなんてかわいいもんだよな。

さぁ、選べよ。
先輩と別れるか、社会的に潰されるか。

好きな方を選ばせてやる。
他の方法なんてない。

…さっさと選べ。

『先輩と別れる』か…。

言質げんちとったからな。
ボイスレコーダーにちゃんと記録として残ってるから。

二度と先輩の前に現れるな。
いいな。
これを反故ほごにしたら、警察に行く。

(席を立つ)

(嫌味たらしく)
それでは、くれぐれもお忘れなきよう、よろしくお願い致しますね?
さようなら。

(ファミレスを出る)

(安堵して出る溜息)ふぅ…
とりあえず、これで終わったな。
先輩に報告しないと。

【スマホをタップする音】

『全部終わりました。別れるって言質げんちも取りました。俺達の勝利です』…送信。

【通知音】

返信、早っ!
えっと、『どこにいるの?』か。

【スマホをタップする音】

『まだファミレスの近くです。すぐ帰ります。ちゃんと鍵をして、大人しく待っててくださいね』…送信。

さぁ、急いで帰るか。

(自宅に到着する)

【インターホンの音】

俺です。
開けてください。

【ドアの開閉音】

うわっ!
どうしたんですか?
先輩、いきなり抱きついてきたら危ないですよ。

全部終わりましたから。
話が長くなるので、お茶淹れて、ソファーに座ってゆっくり話しましょうか。

紅茶、ここに置いておきますね。

【テーブルにコップを置く音】

(ソファーに座る)

結論からいうと、もう先輩は自由です。
これを聞いてください。

(少し間を開ける)

ちゃんと彼氏さんから言質げんちを取ってきました。
先輩の前には現れないって約束してるから、もし現れた時は警察に証拠を持って行って、被害届出してやるって言ってやりました。
だから、もう先輩の前に現れることもないと思います。

先輩を逃がした後?
何もされてないですよ。
殴られてもないです。
話し合いだけで終わりましたから。

そんなに心配なら服、めくってみますか?

ね?どこにも殴られた痕はないでしょ?

それに言ったでしょ。
身をていしても先輩を守るって。

殴られる覚悟はしてましたよ。
結果的に殴られなかったからよかったけど。
……俺、痛いの苦手なんで。

…やっと笑ってくれた。
俺、先輩の笑顔好きです。
その笑顔守れるなら、何でもしますからね。

(先輩からキスをされる)

ぇっ…何?
いきなりキスとか…。

先輩、こういうのは冗談でもやめてください。
怒りますよ?

俺、昨日言いましたよね。
俺は先輩が好きなんです。
こういうことされたら誤解しちゃいます。

(先輩からキスをされる)

先輩!止めてって!
ちゃんと好きになってもらってからじゃないと、こういうのするのはよくないと思うから…。

昨日の返事?
今?
いきなり?

…ちょっと待ってください。
心の準備するんで。

(深呼吸)スーハ―

よし。お願いします。

(少し間を開ける)

…付き合う?
俺と?
本当に?

あんまり俺の顔見ないでくださいって。
嬉しすぎて変な顔になってるから、恥ずかしい…。

(おずおずと)
あの……一つ聞いてもいいですか?
俺のこと、『ずっと前から好きだった』って、今、先輩言ったけど、いつから好きだったんですか?

最初に出会った時!?
そんなに前からずっと両想いだったんですね。

その頃から彼氏さんとはうまくいってなかったんですか?

そっか…。
先輩が怪我してるのを最初に見つけた時に無理矢理でも聞きだして別れさせてあげていればよかったなぁ。

だって、そうしていれば、先輩がこんな大怪我を負うこともなかったし、ずっと前から俺の彼女でいてくれたってことですから。

ねぇ、先輩。
昨日の告白、やり直してもいいですか?
ちゃんと言いたいんです。

(すごく真面目に)
先輩と出会った時からずっと好きです。
俺と付き合ってください。

ありがとうございます。
すごい嬉しいです。

『ギューして』って、……いいんですか?
先輩、肋骨ヒビ入ってるんですよ?
痛くないんですか?

って、先輩から抱きついてくるとか…。
いつも会社ではしっかりしてる先輩からは想像つかないくらい甘えん坊ですね。

全然嫌じゃないですよ。
むしろかわいくてたまりません。

今は優しくギューってしておきますね。
完治したら力いっぱいギューさせてくださいね?
約束ですよ?

(優しく抱きしめる)ギュー

(以下、耳元で)
いっぱい幸せにします。
絶対幸せにします。
誰よりも幸せにします。

先輩、大好きです。