Zakuro
voice:Zakuro
高音男子のかえでくん
voice:高音男子のかえでくん

アイドル彼氏はマネージャー彼女とオフを過ごしたい

やっと家に()いたー。
マジ、疲れたぁー。

ん?
『手洗いうがいしなさい』?
母親みたいなこと言わないでよ。

あとでするから。
…ちゃんとするって。
今は少しだけ休ませてよ。

【ソファーに座る音】

(独り言っぽく)…ツアー、終わったんだなぁ。

なんか心にぽっかり穴が開いたような感じ。
忙しいのが当たり前だったからさ。
全部終わっちゃったのが、すっごく(さみ)しい…。

でも、達成感も(さみ)しいのと同じくらいあるんだ。
いろんな所でやらせてもらって、いろんな人に出会って…。
貴重な経験ができて、楽しかった。

それもこれも、君がずっと僕の(そば)にいてくれたから。
ほんとにありがと。
明日からまたがんばらなきゃね。

えっ!?
明日から3日間、オフなの!

『ツアーがんばったご(褒美ほうび)』?

やったー!!
久しぶりのオフだ!

じゃぁ、君も3日間オフなんだよね?

…はぁ!?
『仕事』?

ちょっと待ってよ。
(なに)言ってるの?

担当してるアイドルが休みなんだよ?
マネージャーも休みでしょ?

『やることがあるの』って…。

(溜息)はぁ…。

あのさ、ツアー中に何度も体調崩したの知ってるんだからね。
(まわ)りは気付かなかったみたいだけど、僕は気付いてたんだから。

少しは休むの!
これは僕からの命令っ!

…どうしても休むつもりはないんだね?
君がそんなことを言うなら、僕にも考えがあるんだから。

【スマホをタップする音】

【電話の呼び出し音】

あっ、社長?
お疲れ様です。

ツアーですか?
無事終えることができました。
ありがとうございます。

いきなり(本題ほんだい)なんですけど、マネージャーも明日から3日間、休みにしてもいいですか?

僕のマネージャーは彼女しかいません。
彼女じゃなきゃダメなんです。

まぁ…普段は結構キツイこと言っちゃってますけど…。
でも、彼女のことは認めてます。
僕をちゃんと理解してくれてるって。

そんな彼女が倒れて休まれたら、僕、困るんですよ。
僕がほかに信頼してる彼女の()わりなんていませんから。

ね?
お願いしますよ、社長。

彼女も休みにしてもらえませんか?

ありがとうございます。
近くにいますので、僕から(つた)えておきます。

お疲れ様です。
失礼します。

【スマホをタップする音】

スピーカーで話してたから、聞いてたでしょ?
僕と社長の話。

これで、君も休みだよ。
僕と同じ、明日から3日間。

少しは休まなきゃダメ。
絶対ダメ。

休み()けたら、僕、もっとがんばるから。
少しでも君の(負担ふたん)を減らせるようにがんばるから。

だから、ちょっとだけ息抜きしよ?
一緒にオフ、過ごそ?
…ね?

えぇ~?
なんで『ヤダ』って言うの?
そこは『うん』って言うところじゃん。

『着替えがない』?
(不敵な笑い)ふっふっふ。

じゃーん!
君の着替え一式、一週間分(そろ)ってるんだよ。

下着から、パジャマ、洋服に(いた)るまで、全部ね。
ちなみに、サイズ合ってると思うけど、一応確認してくれる?

合ってる?
ほんとに?

やった!
さすが僕!

ん?
君の体は(すみ)から(すみ)まで知ってるよ。
だって、君は僕の彼女でしょ?
(笑いながら)彼氏は彼女の全てを知ってても当然じゃない?

(つか)まえた。
もう逃げられないよ?
(観念かんねん)して、僕と一緒に3日間過ごそうよ。ね?

やっと素直になった。

(彼女を抱きしめる)ギュー

せっかく彼氏と過ごせる3日間を(無駄むだ)にするつもりだったの?
…そんなの絶対許さないけど。

まずは、お風呂一緒に入ろ。
そのあと、一緒にご飯食べて、一緒にテレビ見て。
眠くなったら、一緒にベッドで寝ようね。

まぁ、眠くなったとしても、今日は寝かせてあげられないけど…。
今日だけは許してよ。
今までずっと君が欲しくても(我慢がまん)してきたんだから。

(我慢がまん)してきたご(褒美ほうび)
いいよね?

ふふ。
今日は、君を壊す()だから。
夜までまだ時間あるから、それまでに覚悟しててね。