全部やめたくなってしまったあなたへ

(パートナーに呼ばれる)

ん?
何?

……話?

それって、大事な話?

分かった。
すぐそっち行くね。

(パートナー、『あとででもいい』と言う)

『あとで』じゃダメ。
こういうのは今じゃなきゃ。

(パートナーの隣に移動)

で、話って何?

(相槌数回)

…『何もかもに嫌気がさして、全部やめたい』、か…。

いいんじゃない?
全部やめちゃって。

(パートナー、驚く)

君から言い出したことなのに、そんなに驚く?

自分の中で『限界がきちゃった』って感じちゃったんでしょ?
だったら、無理してがんばる必要ないよ。

ぜぇーんぶやめて、スッキリして、元気になったら、またがんばればいいんじゃない?

……ちなみにだけど、やめた後どうするとか考えてるの?

(相槌数回)

何も考えてなくないじゃん。
ちゃんと考えられてるじゃん。
『何も決まってない』『何もしたくない』『何も考えたくない』って。

…全部やめた次の日から、何も考えずに頭の中真っ白にして、1日中やりたいように過ごして。
『家にいるんだし、アレしなきゃ!』とか考えずに、動画見たり、本読んだり……その時やりたいと思ったことをやってみて。

『でも』も『だって』もナシ!
いいって言ったら、いいの。

やりたいと思ったことをやるのが、全部やめた後の君の仕事になるんだから。

で、そのうち、ちょっとずつ具体的にやりたいことが出てくるかもしれない。
『買い物に行きたい』とか『温泉に行きたい』とか…。
そういう小さいやりたいことを片っ端からやっていこ。

そうすれば、心も体も満たされていくはず。
きっとね。

もしも、少しずつ満たされてる最中に本気でやりたいことが見つかったら、その時改めてこれからのことをじっくり時間をかけて考えればいいよ。
時間はたっぷりあるんだし、焦る必要もないでしょ?

それまではのんびりゆっくり休んで。
焦ったって何も解決しないからね。

(パートナー、泣き出す)

なんで泣くの?

えぇー!?
怒ると思ったの!?

この程度のことで怒ったりしないよ。
どっちかって言うと、限界超えてるのに無理してる方が怒るかな。

だって、無理してたら、いつかどこかで皺寄せがくるじゃん?
その皺寄せのせいで、今のつらい状況よりももっとつらい状況になって、君がこれ以上つらい思いするとかしてほしくないもん。

大好きな人がつらく苦しんでる時に全力で支えるのは、パートナーの特権。
その特権を手放したりしないよ。
むしろ、特権乱用するくらいには君を甘やかして甘やかして甘やかし尽くしたいのに…。

……君は嫌がるかもだけど…。

やっぱり、大好きな人には元気でいてもらうのが一番だよ。

『ありがとう』って言うのはこっちのセリフ。
すごく言いにくいことなのに、一生懸命話してくれてありがとう。

(パートナーを抱きしめる)

君は一人じゃないよ。
世界中を敵に回しても君の味方がここにいるのを忘れないで。