(走ってくる足音)
(ドアの開閉音)
(彼、彼女を見つけ、抱きしめる)
体、大丈夫か?
痛いとことか、気持ち悪い感じとかないか?
『慌てなくても…』って言われたって、『体がおかしい。助けて』なんてメッセージ受け取ったら、誰だって慌てるって。
で、なんでこんなことになった?
(彼女、説明し始める)
(相槌数回)
栄養ドリンク飲んだら、体がおかしくなった…?
たまに自分で栄養ドリンク買って飲んだりしてたよな?
今日も自分で買ったんじゃ…?
(独り言っぽく)貰った?
……ってことは、アイツか…。
ん?
だいたいの検討はついた。
その栄養ドリンクくれたのって、お前のデスクの隣のヤツだろ?
……やっぱり…。
お前、騙されたんだよ。
そ。
お前のデスクの隣のヤツ……アイツな、お前のことが好きなの、知らない?
えっ!?
知らない!?
マジで言ってる!?
ほんと、お前って鈍感…。
どんなに親しい相手だとしても、もう少し人を疑えよ…。
話戻すけど、お前が話してくれた内容から、例の栄養ドリンクの中身は、たぶん媚薬。
お前が飲んで発情したところを介抱するのを装って襲う計画だったんじゃない?
俺と付き合ってることも当然知った上で、今回の計画を進めたんだと思う。
彼氏以外のヤツに抱かれたと知れば、俺が別れを切り出すと思って…。
まぁ、そんなお粗末な計画、こっちからぶっ潰してやるけど…。
とりあえず、お前は早退しろ。
そんな状態じゃ仕事になんないし、周りが迷惑する。
理由?
『体調悪くて…』的なので、いけるだろ。
俺も戻って早退申請するわ。
お前を一人にするのは、なんか不安っていうか、イヤな感じがするんだよ。
虫の知らせ的な…モヤモヤする感じが…。
どっちにしても、気になって仕事どころじゃないし、一緒に帰る。
アイツが襲ってこないとも限らないしな。
ほら。
立てるか?
(彼氏、彼女を支えようとする)
(彼女、エッチぃ声が出る)
ちょっ……バカっ!
なんて声出してんだよ。
薬が効いてて全身敏感になってるのは分かるけど、誰かに聞かれたら変な噂が立つだろーが!
(溜息)はぁ…。
このあと、どうするかなぁ…。
ん゛ー……とりあえず、医務室行っとくか。
あそこなら、アイツも下手に手出しできないし、ある意味一番安全な場所だろうし…。
離れたくないのは俺も一緒。
でも、今は我慢しろ。
…お前のフェロモンみたいないい匂いが、さっきからどんどん出まくっててヤバイんだよ。
臭いんじゃなくて、男の本能に火つける感じの、エロい匂い。
これ嗅いでると、頭クラクラして理性どっか行きそう。
……今すぐ襲いたい……。
バーカ!
マジで襲うわけないだろ!
…俺に掴まれ。
歩けないから、抱えて医務室まで連れてく。
それが一番早い。
(彼氏、彼女をお姫様抱っこする)
誰かに見られたとしても、恥ずかしがることないって。
体調悪いのに我慢してて、ぶっ倒れたところにたまたま出くわして医務室に連れてくところって設定にしとけばよくない?
今は『ごめん』じゃなくて『ありがとう』って言うとこ。
ん。
それでいい。
とはいえ、俺の理性もとっくに限界超えてるから、家に着いたら全力でぶち犯す。
昼とか夜とか関係なくな。
理性的に見えるのは、ここが会社だから。
どこだろうと盛ってヤりだす猿共と一緒にすんな。
…あとでいっぱい気持ちよくしてやるから、早くいつものお前に戻れよ?