小鳥遊きの
voice:小鳥遊きの

彼女を癒すはずが自分の癒しを優先しているアザラシ系彼氏

(玄関扉の開閉音)

おかえり。

なんか疲れてるけど、忙しかったの?

ふぅーん。
がんばりすぎじゃない?

どうせ君のことだから、息抜きとかせずに、ただひたすらにがんばって、がんばって、がんばりまくったんでしょ?

もっと気楽にやればいいのに…。
息抜き8割、がんばるの2割くらいでさ…。

だって、がんばったらがんばった分だけ疲れるじゃん。
それって、ダルいし、めんどくさくない?

はぁ!?
失礼な…。
やるべきことはちゃんとやって、そこそこの評価は貰ってるよ。

…そこそこの評価がダメな理由って何?
君の言う『いい評価』って何?

そんなの、相手が違えば評価も変わってこない?
相手が求める100%を返すのって、ただただ自分を追い込んでるだけじゃん。

『実はドMでした』とかなら止めはしないけど、違うならそれの何が楽しいのか俺に教えてくれない?
さっぱり理解できない。

…やっぱ、今のナシ。
聞いたところで、うんざりするだけだし…。

今度、息抜き8割でもちゃんと仕事できる方法教えてあげる。
秘伝の方法だから、誰にも話しちゃダメだよ?

それよりも…。

(彼女を抱きしめる)

いつまで俺を放置する気?
いつもいつも『今忙しいから』って、全然触らせてくれないで…。
いい加減、限界なんですけど…。

限界じゃないように見えたのは、そう見せてたから。
ぶっちゃけ、近いうちに寝てるとこ襲いに行くつもりだった。

嘘じゃないよ。
俺だって、普通の健全男子なの。
それなりに溜まるものは溜まっていくわけで、処理に困り始めてたとこだったんだよね…。

(癒やされてる感じの溜息)はぁ…。
…久しぶりのこの感触、ヤバ…。

それに…。

(彼女の匂いを胸いっぱいに嗅ぐ)

この匂い、最高…。
癒やされる…。

やっぱ、スキンシップって大事かも…。
腹の奥底にあったイライラとかが全部溶けて、どっか行っちゃった…。

よし!決めた!
「今日から1日1回はスキンシップする」ってルール、追加しよ!
お互いのストレス解消のために。

いいじゃん。
たかがハグだけど、されどハグ…。
ほんの数十秒のハグでこんなに癒やされるんだもん。
メリットしかなくない?

……っていうのは、建前。
本音は、君に触れたいだけ。

こんなにスキンシップがなかったのは付き合い始めて、初めてだったじゃん?
さすがの俺も今回は限界…。
もうこんな思いしたくない。

あのさ…。
たしかに俺はめんどくさがり屋だよ?
ちょっとがんばるのもめんどくさがるような、(生粋きっすい)のめんどくさがり屋。

でもね、君に触れることはめんどくさいと思ったことないよ?
そもそも、めんどくさいと思ってたら、エッチぃこととかしないって…。

実際、そんなことないでしょ?

君に触れることは俺の中では優先順位トップ。
俺から触れなくなったら、重大な病気か君のこと嫌いになったかのどっちかだね。
まぁ、まず嫌いになることはないから、安心して。

帰ってきて、お風呂に入ってもないのに、こんなことしちゃうくらいには好き…。

(濃厚なキス)

ねぇ……シよ?

ヤダ。
もう待ちたくない。

もしこれ以上待てって言うなら、優しくできないけど、いいの?
絶対自分抑えらんないもん。
それでもいいなら、いいよ?

ふふ。
ズルい彼氏でごめんね。

君が欲しくてたまらないから、許して…。

(濃厚なキス)※キスしたままフェードアウトしてください。