(玄関扉をノックする音)
(玄関扉が開く)
いらっしゃい、赤ずきん。
歩き疲れてない?
久しぶりに会えて嬉しい。
いつ以来かな?
今日は夕方まで一緒にいられる?
ん。
ギリギリまでいっぱいお話しようね。
さぁ、入って。
今日は俺が手作りしたお茶を
初めて作って上手にできたから、ぜひ飲んでほしくって…。
そっちに座ってて。
(狼:キッチン、赤ずきん:リビングで2人の間に距離がある)
庭の花?
すごいでしょ?
少し前に満開になったんだよ。
会えなくなる前に君がくれた花の図鑑。
アレを見て、気に入ったものを集めてみたんだ。
とはいえ、花を育てるのは手間暇かかって大変だね…。
水やりとか肥料あげたりとか…。
でも、いっぱい世話した分、綺麗に花が咲いた時の感動といったら、ヤバすぎ…。
君が『花が好き』って言う理由が分かった気がする。
(狼、赤ずきんの元にやって来る)
はい、お待たせ。
ジャスミン茶。
そ。
ジャスミンも育てたよ。
香水とかにもできるみたいだけど、俺にはそんな技術ないから、簡単にできるお茶を作ってみた。
……どうかな?
口に合えばいいけど…。
よかったぁ…。
いっぱい作ったから、たくさん飲んでも平気だよ。
ん?
庭に植えた花?
ジャスミン以外だと、パンジー、クローバー、アイビー、
あとで見に行ってみる?
ん。
じゃぁ、案内してあげるね。
もちろん、好きな花を持って帰っていいよ。
ただし、庭の真ん中には行かないで。
絶対に。
ヤダなぁ。
何もないよ。
最近、地盤が崩れてるのか、大きい穴が開いちゃってね…。
落ちたら危ないから言ってるだけ。
……あれ?
どうしたの?
体調悪くなっちゃった?
なら、ベッドで横になった方がいいよ。
連れてってあげるから、俺にちゃんと捕まっててね。
行くよ?
(狼、赤ずきんをお姫様抱っこする)
(ベッドまで連れてきて、寝かせる)
少しでも楽になるように、服ゆるめるね。
(狼、赤ずきんの服をゆるめる)
……ふふ。
赤ずきんがカフェインに耐性なくてよかった。
さっきのジャスミン茶にちょっとだけ細工して、急性のカフェイン中毒を起こしたんだよ。
だから、体調が悪くなったの。
『なんで』…?
それを君が言う?
こんなに人間の雄の匂いをまとわりつかせて…。
気持ち悪いったら、ありゃしない…。
すれ違っただけでこんなに強く匂いがつくわけないじゃん。
俺の鼻を舐めないで。
俺のこと、大好きって言ったのに……1番だって言ったのに……どうして裏切るの?
庭の花たちの花言葉に俺の気持ちを乗せたことにも気付いてくれてないんだし……俺への気持ちなんてその程度か…。
……逆に、俺がどれだけ純粋に君のことを愛しているか、教えてあげる。
パンジーとクローバーは俺をずっと想ってほしくて、アイビーは君との恋が永遠の恋になるように、
けど、ふと思ったんだ。
「こんなに長く会えないのはおかしくないか?」って…。
最初は毎日会えてたのに、週1になって、月1になって、数ヶ月に1回になって……今じゃいつ会ったかすらも思い出せないくらい会えない。
それって、君が裏切って人間の雄に心惹かれてるからでしょ?
…だから、黒百合も植えた。
君自身も、君をたぶらかした雄も呪ってやるつもりでね…。
呪った結果が最悪になったとしても、墓前に飾れるし…。
とは言ったものの、「たった1回の過ちで呪うってのも、おかしいよな?」って、頭冷やして気付いたんだ。
心惹かれたのは、ちょっとした気の迷いってこともあるし、心惹かれてないにしても、弱みを握られてたとかで断れない状況だったのかもしれないし……今『ごめんなさい』するなら、今回は許してあげる。
…『ごめんなさい』する?
(溜息)はぁ…。
ちゃんと『ごめんなさい』できて、えらいね。
…『ごめんなさい』してくれなかったら、庭の真ん中に連れて行かなきゃいけなかったよ。
うぅん。
穴には落とさない。
ってか、穴が開いたってのは嘘。
本当は……トリカブト、って言えば分かるでしょ?
この世で誰かに取られて君と一緒になれないくらいなら、さっさと天国に行って一緒になる方が幸せじゃん?
不安そうな顔しないで。
君がこの先、死ぬまで俺を裏切らなきゃ、そんなことにはなんないって。
さぁ、目を
体調悪いのは、しばらく休んでれば
明日からまた毎日会いに来てね?
俺、待ってるから。
次裏切ったら、どうなるか……知らないよ?