夕焼けキャンバス
voice:夕焼けキャンバス
びびくん。
voice:びびくん。

一緒にお風呂に入りたい彼氏と入りたくない彼女

(二人でサブスクの映画を観ている)

(背伸びしてる感じで)んーっ!
面白かったぁー!
映画館で観たらもっとよかっただろうなぁ…。

ねぇ。
次、何観よっか?

(彼女、夜遅い時間であることを彼氏に伝える)

えっ!?
もうそんな時間?

(時間を確認して)あっ…ほんとだ…。
お風呂入らないとだね。

……久しぶりに一緒にお風呂入ろっか?

(彼女、拒否る)

えぇー!?
なんで『ヤダ』なんて言うの?
たまにはいいじゃん。
前に一緒に入ったのなんて、いつ?
思い出せないくらい前なんだよ?

(ワガママっぽく)一緒に入りたい…。

(彼女、恥ずかしいから無理と言う)

『恥ずかしいから無理』って言うけどさ、そんなのエッチしてる時にもっと恥ずかしい姿いっぱい見られてるんだから今更じゃない?

(彼女、言い訳を続ける)

(彼女を抱きしめる)※以下、彼女を抱きしめたまま

……どんなに言い訳してもダーメ。
観念して、大人しく一緒にお風呂に入ろ?
ね?

(彼女、お風呂の電気を消してくれるなら…と言う)

はぁ!?
お風呂の電気消すとか危なすぎてダメっ!
真っ暗な中で転んだらどうするの?
打ちどころが悪かったら、取り返しのつかないことになっちゃうんだよ?

まぁ…真っ暗な中お風呂入るとリラックスできるから落ち着くのは分かるけど…。

だとしても、危なすぎるから、ぜっっっっっったいにダメっ!

(彼女、なんとか電気を消してくれないかとごねる)

(溜息)はぁ…。
分かった…。
じゃぁ、ちょっと待ってて。

(彼女から体を離す)

(彼氏、リビングから離れ、すぐ戻ってくる)

じゃーん!
防水タイプでお風呂に浮かべられるLEDライト。
ロウソクっぽい形してて、ちょっとかわいいでしょ?

せっかくだし、お風呂真っ暗にして、このライト使ってみない?

(彼女、なんでこんなの買ってるの?と尋ねる)

(言い訳な感じで)えっ……これは……あのぉ……少し前にたまたま見つけて、「かわいいなぁ」って思ったから買ってただけだよ?
「一緒にお風呂に入ろう」って提案して、『真っ暗にしないとヤダ』って言われるのを想定して買ってたとかじゃないから…。

(無理矢理話を元に戻す感じで)で、どうする?
電気付けたまま入るか、ライト使ってほんのり明るい中入るか…。
ふたつに、ひとつ。
どっちか選んで。

……と言っても、答えはひとつしかないけどね…。

(彼女、だとしても一人ずつ入ればいいじゃんと言う)

はい、残念でした。
一人ずつお風呂に入る選択肢はありませーん。
ついこの間、『光熱費の値上がりヤバい!切り詰めなきゃ!』って言ってたじゃん。
なのに、一人ずつお風呂入ってたら切り詰めるどころの話じゃなくない?
こういうのって、簡単にできることからやっていく方がハードル低いと思うけどなぁ…。

……頭のいい君なら、俺の言ってる意味、分かるよね?

(彼女、諦めて一緒にお風呂に入ることを了承する)

ふふ。
やったー!

ん?
何?
約束って?

……『エッチぃこと禁止』…?

それは……約束できないなぁ…。
だって、ライト浮かべたお風呂ってムードの塊みたいなもんだよ?
そのお風呂に入るんだから、そういう気持ちにならないとは言えないもん。
世の中、『絶対』なんてあり得ないんだから。

(彼女、一緒にお風呂に入らないと言い出す)

ヤダ!ヤダ!
一緒にお風呂入らないなんて言わないで!

(ちょっと拗ねて)分かったよ…。
……なるべくそうならないように努力する…。

その代わり、君もエッチぃ雰囲気出さないでね?

俺をからかうとか意地悪目的でエッチぃ雰囲気出したら、その時は……(耳元で)知らないよ?