(溜息)はぁ…。
帰りてー…。
人、人、人…。
どこ見ても人ばっか…。
さすがにうんざりだわ…。
歩きにくくて、しょうがねー。
…バーカ。
ここまで来て帰るわけねーだろ。
ちゃんと花火見てから帰る。
さっきのは言葉の
本気にすんなよ。
ってか、花火会場行く前に、腹ごしらえしてーなー。
デザート的な何かが
かき氷もいいけど、そういう気分じゃなくて…。
綿菓子は却下!
あれはただの砂糖。
おっ!
チョコバナナあんじゃん!
あれにしよ。
買ってくるから、ちょっと待ってろ。
そうだなぁ……あそこの木、分かるか?
そ。
ちょっと薄暗い感じになってるとこにある背の高い木。
その下で待ってろ。
ここで待ってても、人の波にさらわれるからな。
大人しく待ってろよ?
(少し間を開ける)
お待たせ。
ほら。
口、開けろ。
いらねーんなら、やんねーけど。
(彼女にチョコバナナを食べさせる)
…お前、屋台のチョコバナナ
子供がマネしたらどうすんだよ。
『どんな』って……自覚してねーあたり、お前ってタチ
あのな?
なんでバナナ咥えて、先にチョコ舐めんだよ。
舐める必要なくね?
チョコとバナナと一緒に
”チョコバナナ”なんだから。
『別々に食べたい』?
それ、チョコバナナである意味ねーじゃん…。
ただのバナナじゃん。
いやいや。
お前の言ってること、全部
とにかく、今後外でチョコバナナ
(ごにょごにょ言う感じで)…
なっ!?
俺が
先にやったのはお前だろ!
普通に
ふぅーん。
じゃぁ、分かった。
(彼女をスマホで動画撮影する)
まだチョコバナナ残ってるし、もう1回
いいから。
動画撮るのは、やめねーよ。
今のお前の顔と俺の舐めてる時の顔が同じかどうか、後で確認するためなんだし。
証拠として残しとけば、文句言えねーだろ?
ほら。
口が止まってんぞ?
あーぁ…溶けたチョコが口の端から
そのまま動くなよ?
(彼女の口の端からチョコを舐めとる)
ん。
ごちそうさん。
もう
あっそ。
じゃぁ、いただきまーす。
(残りのチョコバナナを全部食べる)
デザートにチョコバナナは甘すぎだったな…。
でも、いいもん見れたし、よしとするか。
そろそろ時間だな。
ボケェーっとしてたら、置いてくぞ。
(耳元で)チョコバナナで無自覚に
楽しみにしてろよ?