(寝起きっぽく)ん…。
…おはよ…。
ごめん。
寝てた…。
コタツって、ついつい寝ちゃうよね。
寝ないようにしてても。
(背伸びしてる感じで)ん゛ん゛…。
あっ!
みかん。
いいなぁ。
それ、甘い?
ほんとに?
じゃぁ、俺も食べたい。
『ん。』じゃなくて、
…ヤダ。
寝起きで頭働いてないから上手に
おーねーがーいー!
…やった!
えっ……ちょっと待って…。
白い筋も取ってよ。
だって、これ、おいしくないじゃん。
口の中でモサモサしてさ…。
なんか邪魔なんだもん。
ヤダ!
白い筋も取って!
どうせ子供ですよぉー。
イヤなものはイヤなんだもん。
ん。
ありがと。
…あーん。
ん?
これ、全然甘くないんだけど…。
ほんとに甘い?
じゃぁ、もう1個ちょうだい。
…あーん。
…うん。
やっぱり甘くない…。
ごめんっ!
ごめんなさいっ!
もう文句言わないから。
ちゃんと食べるから。
『
…だって、ほんとに甘く感じなかったんだもん。
子供の頃からなんだけどさ、果物食べてて、人が甘いって言ったヤツを甘いと思ったことないんだよね。
大して甘くなかったり、酸っぱかったり…。
さっきは、君がすっごくおいしそうに食べてたから、食べてみたくなっただけ。
ただそれだけだよ。
あと何個残ってるの?
みかん。
ふぅーん。
じゃぁ、俺もちょっとだけ貰ってもいい?
寒くなってきたし、ビタミン
風邪とかインフルエンザとか、かかりたくないもん。
こう見えて、少しは健康のことも考えてるんだよ。
『本音』…?
…コタツで寝てたから、喉渇いてて…。
水取りに行くのめんどくさいし、みかんで水分補給したい。
いいじゃん。
ビタミン
(話を切り替える感じで)グダグダ言ってないで、そっちの新しいの
俺は君が
さっきしてもらったから、そのお礼。
…ダメ?
ふふ。
決まりっ!
はい。
あーん。
…おいしい?
じゃぁ、もう1回。
あーん。
ん?
ペース早い?
そうかな?
普通だって。
ほら、次いくよ。
あーん。
あーぁ……口から汁が
(彼女の口元を舐める)
…あっま…。
さっきの甘くないやつとは思えないくらい甘い。
ほんとに同じみかん?
もうちょっと味見させて。
(濃厚なリップ音)
ヤバ…。
君が食べてるみかん、すっごくおいしく感じるんだけど…。
こんなの初めて…。
最後の1つ、食べちゃおうね。
はい。
あーん。
(濃厚なリップ音)
…やっぱりおいしい。
君が
全部食べさせてあげる。
すぐに俺が横取りしちゃうけどね。
ダーメ。
もう止まれるわけないじゃん。
こんなおいしいの、もっともっと食べたい…。
悪いけど、今から少し時間もらうね。
少しで
君も、みかんも、丸ごと食べつくしたいから…。
お腹いっぱいになるまで…。
(濃厚なリップ音) ※ キスしたままフェードアウトしてください。