久しぶりの遊園地、楽しいね。
次、何に並ぶ?
もう1回ジェットコースター?
それとも、観覧車とかにする?
…え?
俺が決めていいの?
じゃぁ、おばけ屋敷がいい。
この遊園地のおばけ屋敷、有名なんだよ。
ずっと行きたいなぁって思ってたんだけど、機会がなくてさ…。
早く行こ!
(列に並んでいる)
中、どんな感じなんだろ?
めちゃくちゃ楽しみだねっ!
……どうしたの?
テンション、下がってない?
だって、ジェットコースター乗る時のテンションとあまりにも違いすぎるからさ…。
もしかして、おばけが怖いとか?
『そんなことない』?
ほんとに?
顔、引きつってるよ。
ほんとは怖いのに、無理してるんじゃない?
……無理してないならいいけど…。
あっ、順番来たね。
中、暗いみたいだから、手
(いざおばけ屋敷の中へ)
真っ暗で全然見えないね…。
ゆっくり進んで行こっか。
少しずつ目が慣れてきたかも…。
へぇー。すっごいリアルに作ってある。
本物みたい。
……あのさ、おばけ、ほんとは怖いんでしょ?
もう嘘
ほんとのこと言ってよ。
じゃぁ、どうして入る時は手
別に、おばけが怖いからって、嫌いになったりしないよ?
むしろ、普段とのギャップがありすぎて、めちゃくちゃかわいい。
…
それならさ、俺の腕から離れてよ。
君がしがみついてると、歩きにくいんだって。
怖くないなら、1人でも歩けるでしょ。
声震わせて『ヤダ』とか…。
もう、かわいすぎだし…。
いつもは
こんな君を知ったら、もっと注目されちゃうかもね。
まぁ、そんなことさせないけど。
当たり前でしょ。
誰にも教えるつもりないよ。
なんで教えてあげなきゃいけないの?
俺だけが知ってればいいの。
ねぇ。
ちょっと顔、上にあげて?
これから、俺が君におまじないをしてあげる。
怖さが一時的に
絶対とは言えないけど、少しくらいは
(触れるだけのリップ音)
どう?
少しは怖くなくなった?
『変わらない』か…。
残念…。
さてと、ずっとここにいるわけにもいかないし、ゆっくり出口に向かおっか。
怖いなら、外に出るまで下向いてて。
その方が前向いてるよりは怖くないはずだから。
あと、真っ暗だから、ちゃんとくっついててね。
大丈夫。
こんなに暗いんだもん。
君のかわいい姿は誰にも見えないよ。
…俺以外はね。